睡眠中に呼吸が止まってしまい、さまざまな健康被害を招く睡眠時無呼吸症候群(SAS)。日本では、その潜在的な患者数は900万人にのぼると推定されています。
睡眠時無呼吸症候群の治療法の第一選択として挙げられるCPAP(シーパップ)療法ですが、患者のうちCPAP療法を選択しているのは50万人ほどといわれています。
しかし、CPAPの効果を十分に実感できず、途中で治療をやめてしまう人は少なくありません。
CPAP療法を断念してしまう理由はさまざまですが、そのひとつとして挙げられるのがマスクからの空気漏れ(リーク)です。
マスクからの空気漏れは、CPAPの治療効果が正しく得られないだけでなく、騒音による自身や家族の睡眠の妨げになることも少なくないため、CPAPユーザーにとっては気になる悩みのひとつです。
そこで今回は、CPAP療法をより効果的にするためにマスクによる空気漏れが起こる原因と対策をご紹介します。
- ■この記事を読んでほしい人■
- 〇マスクの空気漏れに困っていて、原因を知りたい
- 〇マスク空気漏れの対策方法を知りたい
- 〇CPAP療法をより効果的にしたい
■目次■
・CPAP療法を成功させるためにマスクの空気漏れを防ごう
・空気漏れの原因は「マスク選び」
・マスクの空気漏れの対策
・空気漏れを防いでCPAP療法の効果を得よう
CPAP療法を成功させるためにマスクの空気漏れを防ごう
CPAPは睡眠中に狭くなった気道へ空気を送り、無呼吸の状態を改善しますが、マスクによる空気漏れが発生すると効果が損なわれてしまいます。
空気漏れは症状が改善されない、睡眠中に音で目が覚める、家族からうるさいと指摘がある、顔周りで音がするといったことで気づくことができます。
また、マスクには空気の逃し口として弁(ポートリーク)が設けられています。CPAPが稼働している間は送気により適切に塞がる構造になっています。
この弁は、停電やコードが抜けるなどのトラブルで万が一CPAPが緊急停止した場合でも、吐いた息を逃すことができるように設けられているため、塞がないようにしましょう。
空気漏れの原因は「マスク選び」
CPAP療法を効果的に行ううえで、マスク選びはとても重要です。
CPAPマスクは大きく分けて「鼻マスク」と「フルフェイスマスク」の2種類があり、鼻マスクは「ネーザルマスク」と「鼻ピローマスク」に分けられます。
3タイプのマスクの特徴やデメリットは以下です。
マスクタイプ | 特徴 | デメリット | こんな人に |
ネーザルマスク | ・鼻のみを覆うタイプ ・肌への接地面が少ない ・寝返りを打っても外れにくい | ・鼻にフィットせず、痛みを生じることがある | ・鼻呼吸で口を閉じて睡眠ができる |
鼻ピローマスク | ・鼻の穴に差し込んで使うタイプ ・マスクの中で一番肌への接地面が少ない ・顔に跡がつきにくい | ・少しずれただけでも空気が漏れてしまう ・高い圧力での治療に向いていない ・装着時、鼻への違和感を持つことがある | ・鼻呼吸で口を閉じて睡眠ができる ・横向きやうつ伏せで寝ることが多い |
フルフェイスマスク | ・鼻と口を覆うタイプ ・マスクの中で一番接地面積が大きい ・設定圧が高めの人でもマスクがずれにくい | ・かぶれや炎症など肌トラブルを生じることがある ・鼻マスクに比べ、空気漏れが起こりやすい ・口の中が乾燥してしまう | ・鼻づまりがあり、口呼吸をしてしまう ・睡眠中、いびきなどで口が開いてしまう |
鼻マスクによる空気漏れの原因
CPAP療法を初めて開始する際には、一般的に鼻マスクを使用することが推奨されています。
しかし、鼻炎や鼻づまりがあり、口呼吸をしてしまう人やいびきにより口が開いてしまう人が鼻マスクを使用すると、鼻に送られた空気が口から漏れてしまいます。
また、鼻ピローマスクは高い圧力での治療には向いていません。
高い圧力で治療した場合、息を吸うのが苦しくなり口が開いてしまったり、空気圧に耐えられずに鼻ピローが外れたりすることで空気が漏れることがあります。
フルフェイスマスクによる空気漏れの原因
寝返りを打つことで、マスクがずれてしまい、肌とクッションの間から空気が漏れてしまいます。
マスクがずれてしまう要因として、ヘッドギアの調整が甘いことが挙げられます。
マスク以外の空気漏れの原因
マスク選びや装着に原因がない場合は、チューブの経年劣化やひび割れによるもの、CPAP本体のフィルターの詰まり、加湿器の劣化や水分量が十分でないといったことが考えられます。
マスクの空気漏れを防ぐための対策
鼻マスク
鼻マスクの空気漏れは、鼻詰まりやいびき、強い空気圧による口呼吸が原因です。
鼻マスクの空気漏れ対策は、3つあります。
対策①設定圧を見直す
息が吐きづらいと感じる場合は、まずは主治医に相談のうえ、設定圧を見直してみましょう。
また、使用しているCPAP機器にもよりますが、息を吐くときに一時的に圧力を下げるEPR(Expiratory Pressure Relief)や呼気圧力軽減機能がついているものもあるので、こうした機能を活用できないかチェックしてみるのもおすすめです。
対策②口が開かないようにアイテムを使用する
いびきで口が開いてしまう場合は、鼻呼吸をサポートするいびき対策テープ(口閉じテープ)やチンストラップがおすすめです。いびき対策テープは口に貼るだけで手軽に鼻呼吸をサポートでき、チンストラップはあごをしっかりと固定し、口が開くのを防ぎます。
\CPAP LABおすすめのチンストラップ/
あごに触れる部分は手触りのよいナイロン素材で、肌にやさしくフィット。スニーカーや財布にも使用されている面ファスナーで簡単に着脱できます。
対策③フルフェイスマスクに変えてみる
対策②のチンストラップや口テープを使用しても口が開いてしまい、空気漏れが改善されない場合は、フルフェイスマスクの使用がおすすめです。
フルフェイスマスク
フルフェイスマスクの空気漏れは、ヘッドギアの調整が甘いことが原因です。
空気漏れ対策は、2つあります。
対策①ヘッドギアを調節する
ヘッドギアを痛い、きついなと感じない程度にしっかり調整することで、空気漏れが防げる場合があります。
対策②パッドを使用する
ヘッドギアを調節してもマスクがずれる場合は、フルフェイスマスク用のパッドがおすすめです。肌とマスクの間に挟むことでマスクのずれを防ぐほか、摩擦や肌トラブルを軽減したり、マスクによる圧力を分散したりします。
CPAP LABでは、伸縮性のあるジェルタイプと柔らかいソフトタイプの2種類を取り扱っています。
\シリコンかぶれが気になる方はこちら/
\マスクの圧迫感が気になる方はこちら/
空気漏れを防いでCPAP療法の効果を得よう
マスク別に空気漏れが起きる原因と対策を説明しました。
CPAP療法の効果を得て、睡眠時無呼吸症候群を改善するためには、自分に合ったマスク選びはとても重要です。鼻呼吸で口を閉じて睡眠ができる場合は「鼻マスク」を、口呼吸の場合は「フルフェイスマスク」を選びましょう。
自分に合うものが選べている場合は、対策で紹介したオプション品を使用し、ストレスのない快適なCPAP生活を送りましょう。
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