「災害・停電・車中泊の際にCPAPを使用するためのポータブル電源の選び方を知りたい」「そもそもポータブル電源やUPS(無停電電源装置)って何?」と不安に思うCPAPユーザーは多いのではないでしょうか。
災害時や長期間の旅行・出張の際の電源確保が難しく、CPAP使用を断念せざるを得ないケースも少なくありません。
しかし、CPAPに適したポータブル電源を準備しておけば、災害時や停電時だけでなく、キャンプなどのレジャー時でも安心してCPAPを利用できます。
本記事では、災害時・停電時の備えとして、また車中泊や長期間にわたる旅行・出張の際のCPAP使用で活用できるポータブル電源やUPS(無停電電源装置)の選び方と活用事例について詳しく解説します。
CPAPユーザーの生活の質を向上させるための情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
- ■この記事を読んでほしい人■
- 〇CPAPを使用するためのポータブル電源の選び方を知りたい
- 〇災害時や停電時、キャンプなどでもCPAPを利用したい
- 〇ポータブル電源やUPS(無停電電源装置)について知りたい
■目次■
・ポータブル電源とは?モバイルバッテリーとの違い
・CPAPに適したポータブル電源の選び方
・CPAP専用のポータブル電源を推奨する理由
・停電時・災害時のCPAP使用
・キャンプや車中泊でのCPAP使用
・まとめ
ポータブル電源とは?モバイルバッテリーとの違い
ポータブル電源とは、各家庭のコンセントや車のシガーソケット、ポータブルソーラーパネルなどから充電して持ち運びできる小型の蓄電池のことです。
ポータブル電源は、一般的な蓄電池と比べて軽量なため、災害時やレジャーなどで車中泊をする際にも持ち運ぶことができます。
発電機と比べて大きな騒音が出ることがなく、屋内での使用も可能です。 モバイルバッテリーとポータブル電源の大きな違いを以下の表にまとめました。
ポータブル電源 | モバイルバッテリー | |
利用可能な出力端子 | AC・DC・USBなど | USBのみ |
電気出力量 | 100W以上 | 5〜100W |
バッテリー容量 | 200Wh〜2,000Wh程度 | 18.5Wh〜74Wh (5,000mAh〜20,000mAh) |
重さ | 3〜20kg | 150〜500g |
ポータブル電源とモバイルバッテリーの大きな違いは、AC(交流出力)の有無です。
CPAPを使用するには、ACまたはDC出力が可能なポータブル電源が必要であり、USBのみのモバイルバッテリーは適していません。
CPAPに適したポータブル電源の選び方
CPAPに適したポータブル電源は、以下の点に留意して選ぶ必要があります。
●バッテリー容量
●定格出力と出力端子
●UPS機能
それぞれについて、詳しく説明します。
バッテリー容量
ポータブル電源を選ぶ際には、まずCPAP使用のために必要なバッテリー容量を計算しましょう。
バッテリー容量とは、「出力できる電気量」のことで、CPAP使用のために必要なバッテリー容量は、以下の計算で求めることができます。
【バッテリー容量の計算の仕方】
バッテリー容量=消費電力(W) × 使用時間(h) × 1.2(安全係数)
小型で持ち運びに便利な「レスメド AirMini」と据え置き型で人気の「レスメド AirSense 11」を例に計算します。
CPAPの消費電力は機種によって異なりますが、「レスメド AirMini」と「レスメド AirSense 11」の場合、消費電力は以下の通りです。
通常消費電力 | 最大消費電力 | |
レスメド AirMini | 6.3W | 27W |
レスメド AirSense 11 | 56.1W | 73.2W |
例:7時間使用する場合
【レスメド AirMini】
6.3W× 7h × 1.2 = 52.9Wh
27W × 7h × 1.2 = 226.8Wh
→消費電力は52.9〜226.8Wh
【レスメド AirSense 11】
56.1W× 7h × 1.2 = 471.2Wh
73.2W × 7h × 1.2 = 614.9Wh
→消費電力は471.2〜614.9Wh
CPAPは呼吸に合わせて消費電力が変動することも考慮すると、レスメド AirMiniなら300Wh以上、レスメド AirSense 11なら600Wh以上のバッテリー容量が必要だと考えたほうがよいでしょう。
また、ポータブル電源の稼働時間を求める計算式は以下の通りです。
【ポータブル電源の稼働時間を求める方法】
ポータブル電源の稼働時間=ポータブル電源のバッテリー容量(Wh)×80%÷使用する家電の消費電力(W)
例:600Whのポータブル電源でレスメド AirMiniを使用する場合
600Wh × 0.8 ÷ 6.3W = 76.2時間
600Wh × 0.8 ÷ 27W = 17.8時間
→17.8〜76.2時間 利用可能
例:600Whのポータブル電源でレスメド AirSense 11を使用する場合
600Wh × 0.8 ÷ 56.1W = 8.6時間
600Wh × 0.8 ÷ 73.2W =6.6時間
→6.6〜8.6時間 利用可能
このような計算方法を用いて、CPAP使用に必要なバッテリー容量を求めましょう。
消費電力が少ないCPAP(レスメド AirMini)のほうが、長時間使用できます。
出力波形と出力端子
CPAPに使用するポータブル電源は、「正弦波」または「純正弦波」の出力波形の製品を選ばなければなりません。
出力波形とは、ポータブル電源の直流(DC電源)を交流(AC電源)に変換する部品(インバーター)から出力される際の電力波形のことを指します。
「修正正弦波」や「矩形波」など「擬似正弦波」のポータブル電源は、低コストで生産できる反面、ME機器などの精密機器に使用すると故障の原因となる恐れがあるのでCPAPでの使用には適さないとされています。
また、CPAPに適した出力端子はAC(交流)またはDC(直流)です。ACは一般家庭のコンセントと同じ電流供給が可能ですが、DCコンバーターを利用すればより効率的に電力を使用できます。
一般的に使用されているCPAPであるレスメド AirMiniには、本体セットにAC/DCアダプタが付属しており、どちらの出力も利用可能です。
アダプタの定格は、取扱説明書に記載されていますので、ポータブル電源の規格と合うか事前に確認しましょう。
車中泊をする場合には、DCコンバーターを使用すると、車やボートのバッテリーなどをCPAPの電源として使えます。
UPS機能が付いている
UPS(Uninterruptible Power Supply)機能とは、 「無停電電源装置」と呼ばれ、電源が途切れた際に自動的にバッテリーからの電力供給に切り替わるシステムのことを指します。
データセンターでは停電発生時のデータ喪失や機器の損失を防ぎ、医療では人工呼吸器などの生命維持装置の停止を防ぐ目的で利用されているシステムです。
UPS機能には一般用UPSと医療用UPSがあり、医療用UPSはより厳格な安全基準(UL60601-1)をクリアしています。
一般用UPS | 医療用UPS | |
規格 | UL1778 | UL60601-1 |
用途 | 一般家電など | 医療機器(CPAPや人工呼吸器など) |
特徴 | 感電・火災防止重視 | 電気絶縁性・漏れ電流管理が厳格 |
CPAPの安全性を考慮し、可能であれば医療用UPS搭載のポータブル電源を選ぶことを推奨します。
UPS装置を利用する際には、出力電圧などがCPAP機器の仕様に適合しているか確認が必要です。
必ず医師の許可を得て、使用するようにしましょう。
CPAP専用のポータブル電源を推奨する理由
「一般のポータブル電源を利用してCPAPを利用できた」という体験談をネット上で見かけることが多くなってきました。
これは、一般のポータブル電源に「正弦波」または「純正弦波」の製品が増えており、家庭用のコンセントと同程度の機能を持つようになってきたためです。
しかし、一般のポータブル電源の取扱説明書には、医療機器への使用を認めていないものがほとんどで、CPAPへの使用はあくまでも自己責任で行うこととされており、故障時の保証がありません。
特に、修正正弦波など擬似正弦波の安価なポータブル電源は誤作動や故障のリスクが高いため避けるべきです。
一方、医療用ポータブル電源は安定した電力供給が可能で、人工呼吸器にも対応する安全性を備えています。
このような理由から、医療用ポータブル電源を利用することが推奨されています。
停電時・災害時のCPAP使用
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停電時や災害時の備えとして、以下の条件を満たすポータブル電源を用意しておくと安心です。
● UPS機能付き
● 軽量(10kg未満)
● DCアダプタ対応
UPS機能付きポータブル電源を家庭用コンセント経由で普段から使用すれば、停電時にもCPAPの動作が止まりません。
また、災害時の持ち運びを考慮し、10kg未満の軽量タイプを選ぶのがおすすめです。
災害時や停電時は、以下の点に留意するとよいでしょう。
● 加湿器や加温チューブはオフにする
● 充電残量をこまめに確認
● 長期停電に備え、予備のポータブル電源を準備
車中泊を想定する場合は、DCコンバーターを活用して車のバッテリーから電力供給する方法も有効です。
キャンプや車中泊でのCPAP使用
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キャンプや車中泊でも、ポータブル電源を使えばCPAPを利用できます。
特に10kg未満の軽量モデルを選べば持ち運びが楽になり、ソーラーパネルや車のシガーソケットから充電できるタイプを選ぶと数日間の使用にも対応可能です。
寒冷地ではバッテリー性能が低下するため、テントでの使用など低温になる場合は、ポータブル電源自体が冷えないよう、冷たい地面に直接置かない、冷風を避けた場所に設置するなどの工夫をする必要があります。
また、キャンプ場の電源を使用できるケースもあるため、事前に確認し、ポータブル電源の充電に利用するとよいでしょう。
災害・停電時と同様に、加湿器や加温機能はオフにするほうが節電できます。
レスメド AirMiniなら水を使わずに利用できる加湿加温機能があるのに加え、専用のDCコンバーターでシガーソケットからの充電もできるので、非常に便利です。
まとめ
本記事では、災害時・停電時・車中泊時のCPAP使用で活用できるポータブル電源の選び方と活用事例について詳しく解説しました。
医師に相談し、CPAP使用に適したポータブル電源を購入すれば、CPAP使用を理由に災害時や停電時に不便な思いをしたり、車中泊をするようなレジャーを諦めたりする必要はありません。
一般のポータブル電源でも10万円前後、医療用UPS電源は数十万円以上と高額なため、希望予算と使用用途・使用頻度に合った機能や重量の製品を選ぶことが大切です。
また、災害時・停電時・車中泊では、持ち運びに便利な軽量なCPAPである「レスメド AirMini」を使用するのもおすすめです。
「レスメド AirMini」なら、シガーソケットから充電可能なDCコンバーターが使えたり、水を使わずに加湿加温できる機能がついていたりと、災害時・停電時・車中泊などでも安心して利用できます。
CPAP使用に適したポータブル電源を活用して、CPAPユーザーの生活の質を向上させましょう。
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